令和7年4月1日より、名古屋市の旅館業条例が改正されました!
- partner staff
- 5月28日
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更新日:6月3日

<条例の主な改正点>
宿泊者名簿の記載事項
宿泊の年月日:宿泊を開始した日と終了した日を記載する。
宿泊者の氏名、住所及び連絡先:旅館業法施行規則に基づき必須。
外国人宿泊者の場合(日本国内に住所を有しない):国籍、旅券番号の記載。
衛生措置の基準(第4条)
(1)≪面接≫ 新設(第4条1号)
宿泊しようとする者と、面接を行う。
ただし、市長が認めた場合、面接を行わなくてよい。
ICTなど活用⇒玄関帳場を設けない場合で後述
既存の施設は、改正前の基準が適用されます。
新基準の適用を受けるには、「構造設備の基準」(第1、2、6号)をすべて満たし、管轄保健センターに変更届を提出すること。
(2)≪常駐・駆付け対応≫ 新設 (第4条第2号)
旅館業の施設には、営業者またはその代理人、従業員が常駐すること
ただし、市長が認める場合、常駐しなくてもよい。
上記適用を受けるには、「構造設備の基準」(第1、2、6号)をすべて満たし、
管轄保健センターに変更届を提出する必要あり。
(営業者等の常駐が求められるが、ICTを使った体制でも代替可能。ただし、規定を満たすためには届出が必要)
構造設備の基準(第6条)(既存の施設には、改正前の基準(旧基準)が適用されます。)
(1)玄関帳場(フロント)代替設備について(玄関帳場を設けない場合)
改正前(運用要綱)
管理事務室の設置:営業者等が常時待機、宿泊者と面接、宿泊者名簿を記入、客室の鍵の受渡し、宿泊者以外の出入りの確認などを行う管理事務室が固定設備として設けられていること。
距離:管理事務室は、宿泊者の緊急時に対応できるよう、施設からおおむね1,000メートル以内に設けられていること。

改正後(第6条第2号)
玄関帳場を設けない場合
宿泊者の確認設備:宿泊しようとする者を適切に確認できる設備を設けること。
営業者の連絡先掲示:施設の外部の見やすい場所に、営業者等の連絡先を掲示すること。
追加要件(旅館業法施行規則に基づく)
緊急時対応用設備(通話機器、連絡先の掲示など)
宿泊者名簿の正確な記載設備(記載事項を確認する機器など)
客室の鍵の受渡し設備(鍵や鍵情報に関する機器など)
宿泊者以外の出入り確認設備(ビデオカメラなど)
これまでは、ラブホテル類似施設を規制するための基準として、ICTを活用した自動チェックイン機を設けることができませんでした。必ず対面でチェックインを行い、緊急時に備えて常時管理事務室で待機する人員体制が必要であったところ、今回、玄関帳場を設けない場合に、宿泊者の確認や鍵の受渡し、緊急対応などの設備を適切に整備し、必要な機器等を導入すること、また、営業者等の連絡先は外部に掲示し、緊急時対応ができるようにすることで、「ICTを活用した非対面のチェックイン」「緊急時対応」の内容が大きく変更となりました。
(2)≪客室の区画関係≫ 新設(第6条3号)
他の客室、廊下等とは壁等により区画されていること
宿泊者等が面接または確認を受けた後でなければ入ることができない構造であること
(3)客室の入浴設備関係
改正前(第6条第6号ウ)
浴室やシャワー室の内部が外から見えるような構造ではなく、宿泊者の性的好奇心をそそるおそれがないことが求められていました。

改正後(第6条第4号)
客室に入浴設備を設ける場合、浴室等は、客室の外から容易に見通すことができない構造であること。
客室内の入浴設備について、同一客室内からの見通しは可
こちらもラブホテル類似施設を規制するための基準が緩和された形になります。また、寝室の鏡は、横になった状態が映る(壁面床から概ね1.6mの高さ、天井、床面)は、原則設置不可です。しかし、通常の身だしなみを整えるための鏡(例:洗面所の鏡や鏡台)は設置可能になりました。
(4)便所
改正前(第6条第1号イ)
便所を付設していない客室がある階には、共同便所を設けること

改正後(第6条第6号イ)
便所を付設していない客室がある場合は、共同便所を設けること
改正前は「階ごと」に共同便所を設ける規定でしたが、改正後は「便所を設けていない客室」に対して共同便所を設ける規定になったため、御手洗に関しては、より厳しい基準となりました。
(5)外観の意匠・形態(第6条第3号)
施設の形態及び意匠、広告物等の外観は、 周囲の環境に調和するものであり、かつ、違和感を与えないものであること。
改正なし ただし、細則にて適用除外あり
商業地域については、地域の特性を鑑み、外観の基準は設けないことになりました
(6)≪施設の区画関係≫ 新設(第6条第8号)
施設は、住居(その他の用に供する施設)と明確に区画されている構造であること。
≪苦情等への対応≫ 新設(第10条)
営業者等は、旅館業の施設の周辺地域の住民等からの苦情又は問合せ等については、適切かつ迅速にこれらに対応するよう努めなければならない。
今回の基準の見直しで、営業形態の多様化に沿った運用を進め現在の社会状況に対応できるようにする一方で、過去のラブホテル建設反対運動を背景とした、名古屋市が善良な風俗を保持するために行ってきた指導の考え方については、これまで通り行われていくことになります。
手続きの流れ
1. 施設所在地を管轄する保健センターにて事前協議
2. 営業計画を作成・20日以上掲示
3. 周辺住民への説明、意見収集
4. 結果を市長(保健センター)へ報告
5. 保健センターへ営業許可申請
6. 消防法令適合通知書交付申請
7. 現地調査(保健センター、消防署)
8. 許可証の受け取り
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